手首の傷痕

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『真彦は、仕事が恋人みたいなもんなんだよね? 私なんて、別に大切じゃないんだよね。』 ヤケクソに言い捨て、大量のウイスキーを浴びるように飲み 菜月(なつき)は、いつも 一方的に怒って部屋を出て行った。 土砂降りの雨の中、走って追い掛けたこともある。 菜月の寂しさの感情は いつも、満たされることなく 僕に求めるものは、永遠に変わることのない、限りない愛情だった。 付き合い初めて、半年位は ごく普通の付き合いだったと思う。 お互い、仕事があったし 週末のデートと、毎日の電話で十分だと思っていた。
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