手首の傷痕

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出会い始め…菜月は僕に言っていた。 『あたしさ、束縛されるの好きじゃないんだよね。 彼氏が出来ても、女友達との約束だって優先したいし 毎日ベタベタなんて、息苦しいじゃない?』 僕も、菜月のそういう自立したところが好きだったし 別に毎日ベタベタでも良かったけど、お互いに心地よい距離でいられるなら 僕はそれで良かった。 菜月は、家庭の事情が複雑な人で、僕より2歳年上だったけど 大人っぽさの中に、モロい部分を秘めた アンバランスな女性だった。 出会った当時、まだ26歳だった僕は やっと社会人として、落ち着いた立場を確立出来て 自衛官の職務も、充実していた。
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