手首の傷痕

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『寂しかったのよ。 だって、真彦…最近なんだか、冷たいし ……エッチもしてくれないじゃん。』 菜月は、僕に対して…まるで開き直りの態度で睨みつけてきた。 そんな強気な態度に出たかと思えば…急にシュンとして 「…ごめんなさい…私たち…もう終わりかな…」 と、涙をぽろぽろ流す。 僕は、菜月と別れるつもりはなかった。 だけど、相沢とのことは おそらく永久に許せないだろうと、その時は思っていた。 僕は、怒りが強くなり過ぎると、黙り込む性格だった。 静かに静かに…気持ちを抑えながら、最低限言いたい言葉を選ぶ。
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