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「答えを見たんだ、シオン。私は答えを見た。そして君も、いつかはその果てに辿り着くだろう」
「優れた錬金術師ならば誰でも辿りつける。私たちは魔法使いたちのような出し惜しみはない。
ちゃんと世界の全てを知り、きちんと計算をすれば誰だってたどり着けるよ。その、変えようのない終わりというものに。
アトラスは狂人の蔵なんだ。未来に避けられない滅びがあると知り、あらゆる手段をもって対抗策を作る。
けれど対抗策を作れば作るほど、滅びはおぞましさを増して私たちを打ちのめした。何をしようと救いなどない。
私たちはあらゆる人間に平等な世界をもたらす為、未来を読んで世界を運営しようとした。
なのに、まず初めに出てきたのは滅びなんだ。
考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。
考えた、考えた、考えた、考えた考えた、考えた考えた考えた……!!そう、あらゆる方法をシミュレートした!
なのに手を尽くせば手を尽くすほど、私たちは余計ひどくてメチャクチャでグロテスクな未来を運営するだけだったんだ!
狂った。滅びの未来に至った錬金術師はみな狂った。狂ったように未来に挑んだ。そして本当に気が触れた。
───ああ、君もアトラシアの名を冠したのなら、いずれあの穴蔵に落ちるだろう。
歴代のアトラシア、狂いながら新しい滅びを計算する錬金術師を押し込めたあの地獄に!
私は───それに挑んだんだ。不可能を可能にするのがアトラシアの称号だ。
結論として吸血種となり自身の能力を強化させ、奇跡へと至る事だった」
「……ワラキア、貴方は……」
「キ……キキ、キキキキキキキ!タベロタベロタベロタベロ、骨ノ髄マデ食イ尽クセ!
救いナンテありはシナイ娯楽なんてアリハしない、ツマらないツマラナイ、人間ナンテツマラナイ!
ツマラナイクダラナイ、ウバイアイコロシアイ!ソウシテ自滅シロ自滅シロ、ツマラナイナラ自滅シロ!
キ、キキ、キキキ、キキキキキキキキキキキキキ───キキ、キ、キ。ひ。ひひひ、あははははははは!
ソウダ、ワタシ、ワタしハ、そウ───ただ、計算しきれぬ未来こそガ、欲しかった────」
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