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村上「おはぎを両手にしっかり持って」
池田「あんこが手にべっとり付いたって気にしないぞ!」
村上「そして、客の目を一転に見つめて、こうするんだ」
池田「おぉ!こうかこうか!」
村上「このテクニックを業界では”おはぎんぐ”と言う」
池田「ネーミングは引っかかるが、もうどーでもいい!」
村上「客にしっかりとおはぎんぐを施す。そして客の気持ちがこっちへ引き込まれてきた瞬間に決め台詞!”おはぎもいいけどカレーもね”」
池田「えぇ!?それ押すとこ間違ってませんか?」
村上「おはぎもいい、けど、カレーもいい、けど、やっぱりおはぎだね!!」
池田「長い長い長い!…カレーも好きなんだろうなぁ」
村上「とにかく言うんだよ!ばっと言わなきゃ始まらないんだ。おはぎんぐをとにかくしないと、これは始まんないから。ほら、おはぎんぐやって」
池田「あっ、ひとりで…(苦笑い)はずかしいなぁ」
村上「違う違う違う!なんだ、馬鹿にしてんのか?」
池田「…その言葉、そっくりそのままあんたに返してぇー」
村上「肩幅に足を開いたら腰をぐんと落として、こうだ」
池田「…こうですかね?」
村上「違う違う!こうだ!」
池田「え…?何が違うんだよ」
村上「こうやってこうだ!ぐいぐいぐいぐい…」
池田「痛い痛い痛い…」
村上「スピードを上げてこうだろ?」
池田「痛い痛い痛い…も、何なんだよコレ!!!!あんたね、さっきから頭おかしいんだよ!!!なにが”おはぎんぐ”だ!なにが”あんこともち米のラブストーリー”だ!
俺はただのバイトなんだ。さっきからおはぎおはぎって…このおはぎ馬鹿!!(立ち去ろうと右側へ歩きだす)」
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