一章【日常】

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「じゃあーまずは名前を教えてくださいなー」 「えーと『河原 仁』と言います」 河原は武石と同じクラスで親友格の友達だ。 けど彼は武石と一緒には帰らない。 帰る方向が違うのである。 だからいつも一緒には帰らない。 「それじゃあ依頼の内容を教えてくださいなー」 宮路には『ー』という語尾を伸ばす口癖があった。 「同じクラスの『武石』というヤツなんですが」 「はい武石くんですねー期限はいつ頃がいいですかー?」 期限。 それはつまりタイムリミットを指す。 『日常壊し』はこの決められた期限において計画をたて実行する。 「一週間くらいでよかったら」 期限が遅かろうが早かろうが彼らは実行してきた。 「では今日が火曜日ですのでー来週の火曜までには実行したいと思いますー。ちなみに武石くんの『日常』ってわかりますかー?」 「あいつは確か『普通の日常を過ごす』ってのが日常だったかな?そのせいであいつは普通を保とうして自分の気持ちを抑えている、だからさ…お願いします」 ようは武石が周りに合わせていると言うこと。 武石が言いたい事も言わず、相手の意見ばかりを尊重しているということ。 「了解ですー頑張ってみますねー」 宮路は笑顔で了承した。 河原は多目的室を出て、宮路は壁の向こうへと行った。
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