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「…それで、どの辺りが判らないんですか?」
結局月森は、放課後の図書室で火原に勉強を教える事となった。
(はあ…俺はヴァイオリンの練習をする予定だったんだが…)
火原の子犬の眼差しに負けた月森であった。
「えっとね…ここと、ここと…あとここと、ここも…あ、ここも…」
「…多すぎませんか?」
「そ、そうかな?あはは…」
へらへら笑う火原に、月森は溜め息をついた。
そしてペンを手に取る。
「ここはこの部分が間違っています。この場合、形式は……」
「なるほど~、そうやれば良かったんだね」
弾んだ火原の声が響く。
「やり方は教えました。先輩は先程述べたやり方でそれを解いてみてください」
「うんっ、判ったよ」
火原はノートに向かい、月森は教則本と思われる本を読みながら火原の勉強が終わるのを待つ。
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