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もう暗くなっている正門前、妖精の像を火原と月森の2人は一緒に横切る。
図書室を出てから、何だか互いの間に微妙な空気が流れていた。
「「あの…」」
2人は同時に互いを呼びかけた。
「つ、月森くんからどうぞ…?」
「いえ…火原先輩から…」
「そう…?」
すうっと息を吸い込むと、しばし間を置いて話し始める。
「俺達さ……その…付き合わない…?」
「え……」
「あ、でも変だよね、男同士で付き合うなんて…」
月森の困惑と驚きの表情を見て断られると感じた火原は、慌てて笑いながらそんな風に言う。
「…火原先輩には、柚木先輩がいるのでは…?」
「柚木…?柚木は大事な親友だよ。それ以上の気持ちなんてないさ」
「…………」
少し、緊張していたような月森の表情が和らぐ。
月森はスタスタと先へ歩き出す。
「えっ、ちょ…月森くんっ」
慌ててその後を追う火原。
まだ先程の返事を聞いていない。
「ね、ねえ?さっきの返事…」
「……俺の家に寄っていきますか?火原先輩の勉強で練習が出来なかったので、付き合ってください」
返事は[Yes]と月森の表情に現れていた。
照れているのか、少し頬を染めて。
「月森くん…」
舞い上がった火原は大きく頷くと。
「うんっ、行く行くっ」
新しい関係を築いた2人は、肩を並べて学院を後にしたのだった―――…。
……END……
※次ページはあとがき。
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