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「こんな所で寝やがって…風邪引くぞ」
「ああ…土浦」
呆れた顔で自分を見下ろす土浦に目元を擦りながら返事をする。
「一緒に帰ろうと思って教室行ったらお前いなかったし。またいつものここかと思って来てみりゃ案の定だ」
加地がお気に入りの普通科屋上。
本来なら音楽科の屋上と違い立ち入り禁止なのだが、当の本人は全く気にせず出入りし、恰好の昼寝場所として活用しているようだ。
土浦は加地の隣に腰を降ろした。
「ん~、まだ眠い…」
土浦の肩に頭をもたげる。
そんな加地に土浦は苦笑した。
「だから、こういう可愛い事すんなって」
「だって土浦の肩があるんだもん」
「あのなあ…」
こっちは健康な男子なわけで(まあ加地もだが)、好きなやつにくっつかれたりしたら、やはりそれなりに思うところはあるわけで…。
「何?ムラッと来ちゃうとか?」
頭を肩に預けたまま、少しからかい気味に加地が言う。
「まあ…な。ここんとこ…ご無沙汰だし」
「そういやそうだっけ?」
「そうなんだよ」
オブラートに包む事なく話す相手に苦笑しつつも、加地に触れたいと思うのは本当だ。
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