1人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「遼、秘密なんてズルイ!」
『ドサッ』
遼を押し倒しながら昴は叫んだ。そして、後から教室に入って来た荒に首を掴まれて引きはがされるまで、ずっと遼に抱き着いていた。
「ぐえっ」
「遼、行くなら早く行こう。このごろ暴れ足りない」
「排除するなら早くしろ。生徒会からの要請だ」
「あいつらの差し金かと思うな…」
体を起こした遼は苦笑した。そして、四人の顔を見回して口元だけで笑った。
「さあ、一つ暴れに行くか」
『…よし』
遼の言葉に四人は応え、行動を開始した。
「よく来たな」
相手が指定したのは廃工場だった。遼が着いた時には四、五人の男子がいた。制服からして遼達と同じ高校らしい。
「呼んだのはそっちだろ」
「そうだったな」
ガハハと汚い笑い声に遼は呆れた様にため息をついた。
「ところで、俺になんの用だ?」
遼の呟きに男達の笑い声が止んだ。
「俺の仲間がお前にやられたんだよ。鼻の骨を折られた、覚えているだろ」
「残念ながら覚えていないな。それに『ゴミ』の顔なんてわざわざ覚える必要がないからなあ」
遼がおどけた様に肩を竦めると男達は額に青筋を立てて怒り出した。
(単純だな…)
遼は男達の言葉を聞き流しながら周りの様子を窺った。
「おい、聞いているのか!」
「えっ、…ああ、聞いていたよ」
遼は聞いていたふりをすると見事に男達の逆鱗に触れた。
最初のコメントを投稿しよう!