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そのころ、武はというと…
『カッ』
鉄パイプを構えた男と対峙していた。男は焦りを隠せない様子で武と戦っていた。
「お、おまえ、どこから出した?!」
「背中から」
武の武器は木刀で男の攻撃を受け流しながら隙を窺っていた。
「へっ、そ、そんなの俺がへし折って」
『ブンッ』
大口を叩こうとしていた男の前髪が風で舞い上がった。そして…
『カランッ』
コロコロ転がって男の足にぶつかったのは、今まで持っていた鉄パイプだった。
「邪魔だったから切らせてもらった」
「へっ?」
『ドゴッ』
いつのまにか、男の武器は半分に切られていた。そして、それによって出来た隙をぬって、武は男の腹に木刀を減り込ませた。
「そろそろ、終わりだな」
「おい、どこに行く気だ」
「ヒッ」
こそこそと裏口から逃げようとしていた二人の男は、待ち伏せしていた遼の姿を見て悲鳴を上げた。
「主犯格はお前達のようだな。覚悟は出来ているな?」
「ゆ、許して…」
「失せろ、ゲスが」
『グシャ』
「遼も容赦ないね。俺、潰したかと思った」
昴は遼の足元で泡を吹いている二人を見て顔を引き攣らせた。
「触れたくなかったからな。まあ、骨の一本や二本は折れているかもしれないけど」
遼が足をぶらつかせながら答えると、雷が男の頬を突きながら言った。
「踏み抜く様に踏んでいたからなあ。暫くは大人しいんじゃない?」
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