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「その方が助かるな」
遼は一仕事が終わったと体を馴らしていると、荒が近づいてきた。
「遼、今日も手配するか?」
「ああ、一応な。後、警察にも連絡を入れておけ。『学校側』が処分を下しやすいように」
「わかった」
荒は先に外に出た。そして、遼は倒れている男達の意識が無いことを確認すると三人に声をかけた。
「そろそろ、俺達も帰るか」
「あ~、久しぶりに暴れたから腹が減った」
「いうほどの手応えはなかったな」
嬉しそうに言う昴に対して、少し不満げに言う雷。
「生徒会には明日、仕事がてらに報告を入る」
武は遼にそう報告すると、四人は外で待っていた荒と合流して帰路についた。
その後…。
「遼、あいつらの処分『停学』らしいぞ」
「ふ~ん…」
「さすがに警察沙汰になったら学校も無視できないみたいだな」
「そうだな…」
「……なんだよ、興味ないのか?」
雷は意気揚々と遼に言うと、遼はそれまで開いていた本を閉じた。
「結果には興味はないな。どうせ、また起こるんだから」
「大変だね、モテる人は」
カラカラと笑う雷に遼は笑顔で答えた。
「火種は俺だけのせいでは無いことを覚えておけよ?」
「うっ…はい」
雷は遼の目が笑っていないことに気付いてすぐに謝った。喧嘩の火種の大半は自分と昴にあることを充分理解しているからだ。
「それならいい」
遼は再び本を開くと、授業が始まるまで読み続けた。
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