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「お前達、何をしている?」
いきなり声をかけられ男達は声のする方を見た。そこには、制服をきっちり着こなした男子が逆光の中を立っていた。
「あぁ?誰だよ、おまえ」
「見かけねえな」
「一年だろ?」
男子、遼は警戒しながら一歩前に進みでた。風が遼の長い髪をあそぶように掬い上げた。
「そうだとしたら、どうなんだ?」
「はんっ、先輩は敬えと教わらなかったのかよ」
「俺達が色んな事を教えてやろうか?」
「それはいいな!先輩が優しく教えてやるよ」
ギャハハと汚い笑い声に遼は眉間にシワを寄せた。
遼はいじめと思しき場に遭遇した。だが、現実はもっと酷かった。彼らが囲んでいた対象は女子だったのだ。男達の意識が遼に向いている事で彼女は目で遼に訴えかけていた。
「(助けて…!)」
「話しはそれぐらいにしろ。その娘を渡せ」
「なんでだ?彼女か?」
「関係ないだろ、放してやれ」
「ああ、代わりにお前が相手してくれるんだったら放してやるよ」
男は目配せをして仲間に合図をした。その光景に遼はため息をついた。
(めんどくさいが、仕方がない)
「わかった、そっちに行くからその娘を放せ」
「物分かりのいい後輩で助かるよ」
遼は不機嫌さを表に出さないよう彼らに近づいた。そして、いきなり背後から組み伏された。
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