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『ドカッ、バギィ!』
階段を半分くらい降りた頃に背後から物音が聞こえてきたが、遼の家では毎日のことなので余り気に留めなかった。
(朝食は何を作ろうかな)
リビングに入った遼はそのまま台所に行くと、冷蔵庫の中を物色し始めた。すると、リビングのドアが開き、先程の二人が顔を出した。
「ああ、起きてきた………どうかしたのか、その顔は」
「洗面所で荒と鉢合わせたらいきなり殴られた」
「武は容赦ない。寝ぼけていたんだ」
「もう一発殴ってもいいんだぞ」
武の頬には殴られた後が出来ており、荒の頭にはタンコブが出来ていた。思わず頭を隠した荒に遼が苦笑していると、武が台所に入ってきたので二人で朝食を作ることにした。
「荒、後の二人を起こして来てくれ」
「…朝食は何?」
「みそ汁に魚、ご飯だ。早く行ってくれ」
荒がリビングを出るのを確認し、遼は調理を再開した。棚からワカメを出し水で戻すと、隣では武が冷蔵庫から鮭を出していた。
「今日は鮭か…」
「ああ、もう焼き始めてくれ」
「わかった」
武が鮭を焼いている間、遼は鍋に水を張り火にかけ、自作のヌカ漬けを壺から取り出した。適当な大きさに切り器に並べ終わった頃に鍋の水が沸いた。
「武、火を見ておくから箸とかの準備をしてくれ」
「ああ…」
ダシを取り、味噌やワカメを入れ終えた頃、リビングのドアが開いた。
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