遼、風邪を引く

4/10

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
『ドカッ、バギィ!』  階段を半分くらい降りた頃に背後から物音が聞こえてきたが、遼の家では毎日のことなので余り気に留めなかった。 (朝食は何を作ろうかな)  リビングに入った遼はそのまま台所に行くと、冷蔵庫の中を物色し始めた。すると、リビングのドアが開き、先程の二人が顔を出した。 「ああ、起きてきた………どうかしたのか、その顔は」 「洗面所で荒と鉢合わせたらいきなり殴られた」 「武は容赦ない。寝ぼけていたんだ」 「もう一発殴ってもいいんだぞ」  武の頬には殴られた後が出来ており、荒の頭にはタンコブが出来ていた。思わず頭を隠した荒に遼が苦笑していると、武が台所に入ってきたので二人で朝食を作ることにした。 「荒、後の二人を起こして来てくれ」 「…朝食は何?」 「みそ汁に魚、ご飯だ。早く行ってくれ」  荒がリビングを出るのを確認し、遼は調理を再開した。棚からワカメを出し水で戻すと、隣では武が冷蔵庫から鮭を出していた。 「今日は鮭か…」 「ああ、もう焼き始めてくれ」 「わかった」  武が鮭を焼いている間、遼は鍋に水を張り火にかけ、自作のヌカ漬けを壺から取り出した。適当な大きさに切り器に並べ終わった頃に鍋の水が沸いた。 「武、火を見ておくから箸とかの準備をしてくれ」 「ああ…」  ダシを取り、味噌やワカメを入れ終えた頃、リビングのドアが開いた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加