遼、風邪を引く

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「熱があるのを気がつかなかったのか?」 「いつもよりぼんやりする程度だ。授業には支障はない」  遼は呆れながら言葉を返すと、武は眉間にしわを寄せた。 「荒、体温計」 「ほら」  武の言葉と同時にどこから取り出したのか、荒の手に体温計が握られていた。 「軽いものだ、大事は無い」 「観念して計れ」 「嫌だ」 「遼、………脱がすぞ」 「………………」 「ほら」 「(はあ…)分かったよ」  武と荒の言葉に遼は諦めて熱を計った。少しの間があき、電子音が鳴った。 「…………大丈夫だな」 「今の間はなんだ、貸せ」  荒が体温計を取り上げ確認すると、途端に顔つきが変わった。 「休み、決定だな」 「どれどれ…」  次に昴が体温計を取ると、雷と一緒に表示を見た。 「り、りょうさん、今日は休むべきだよ」 「たかだか38度でなにを」 「だ~め、今日は休み!」  遼がソファーから逃れると昴が背後から遼を抱きしめた。遼の体温は38度5分あった。いつもより高い体温に昴は心配気に肩に顔を乗せた。
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