1人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「なあ、雷」
「なんだよ、昴」
「美男美女、絵に描いたような二人だよな…」
「ああ…」
「だけど、」
「「なんか、ムカつく」」
「…ううっ、俺の時守が…」
二人がふくれている横で、意識が回復したのか、会長が顔を上げて唸っていた。その声を聞いて、今まで黙っていた武がゆっくり動きはじめた。
「忘れていた…」
「ああ、俺も」
武に続いて荒も動きはじめた。
「元はといえば」
「全ての元凶は」
二人の視線をたどった雷と昴はニヤリと笑ってついて行った。そして、今まで遼達の方しか見ていなかった会長はいつの間にか四人に囲まれていた。理由がわからない会長は思わずマヌケは声を出してしまった。
「ああ?」
「「「「お前だ、バ会長!!」」」」
「ギャアアアァァァ…!!」
会長の声をキッカケに四人によるリンチ(と書いて八つ当たりと呼ぶ)が始まった。
「元気ですね、あの人達は」
「いつもの事ですよ。まあ、運動不足気味だったので調度良いんじゃないかな」
「そうですか。私としては会長の腕と頭が動けば良いですからね」
「ああ、後ほど、椅子に縛りに行かせてもらいます。体を固定すれば動けないですからね」
「ありがとうございます」
黒い会話の筈なのに、二人の笑顔は明るいものだった。少し離れた所では砂埃が舞い上がっているというのに…。
最初のコメントを投稿しよう!