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「時守君、お願いがあるんだけど…」
「なんですか?」
いまだ舞い上がる砂埃から副会長に目を向けると、副会長は酷く申し訳なさそうにしていた。
「放課後、手伝ってくれないかなぁ?
そこの会長もなんだけど、書記も仕事をためていて、猫の手も借りたいほどなの…」
「え゛っ…」
副会長の言葉に、遼は顔を引き攣らせ言葉を詰まらせた。
(バ会長からの命令だと脅すなら何なりで断ることが出来るが、副会長には世話になっているしな…。困っている奴からのお願いには弱いんだよな)
冷や汗を流しながら、遼は悩んでいる。ひたすら、悩んでいる。そんな、遼が見えているのかいないのか、副会長は駄目押しの一言を放った。
「だめかなぁ…?」
「やらせていただきます」
遼は条件反射のように腰を曲げて頭を下げた。副会長の顔が笑顔に変わったのを確認すると、内心黒い渦が巻き起こっていた。
(落ち着け、俺。とりあえず、これは副会長を助けるため。この怒りはバ会長とアホ書記をたたきのめす事で発散しよう)
遼は自分の人の良さを恨みつつ、会長を叩き潰す事で苛立ちを少し発散した。
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