遼ファンクラブの原点

4/10
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「くそが…」  呟きの聞こえた方を見ると、男が携帯を取り出していた。 「おい、お前の名前は『時守遼』か?」 「そうだ、としたら?」 「覚えておくぞ、ぜってえ忘れねえ…」 「鼻血を出しながら言っても、説得力に欠けるな」 「なにを「遼、ここにいた!」 『グシャッ』  朱髪の男子が飛んで来て、叫ぼうとしていた男の頭を踏み付けた。遼は飛んで来た男子、昴を呆れた目で見つめた。 「遅いぞ、もう終わっている」 「え~!  もう、一人で行くなって言っているのに、何で行っちゃうんだよ」 「見回りは各自ばらけているからな。見つけたら直ぐに行動しなければ後の祭りになる」 「だからってよ…」  拗ねて文句を言う昴に遼はため息をついた。 「とりあえず、そこから足を退けてやれ」 「あっ、なんか踏んでた?」  変だと思ったと言いつつ昴が足を退けると、遼は男の髪を掴んで頭を上げた。 「…………」 「確実に白目を向いているな」 「そんなことより、遼は何でそんな格好しているんだ?」 「不気味な顔をするな」 「ねえ、なんで?」  昴の顔は笑みを浮かべているが、目だけが笑っていなかった。それを見て遼は顎で奥を示した。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!