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「女の子?」
「ああ、お前達に連絡を入れて待たなかったのはそれがあったからだ」
「ふ~ん、男が五人に女の子が一人か。…寄ってたかって最低の『ハエ』だね。遼が先にやったのは正解かもね」
「だが、その格好は少し冷えるな」
『バサッ』
声と共に、遼の肩に一回り大きな学ランが掛けられた。昴は顔を歪め、遼は一回瞬きをした。そして、後ろを向くと黒髪の青年が立っていた。
「武、いつの間に来たんだ?」
「馬鹿の雰囲気が変わったあたりかな」
武の後ろから青髪の男子が顔を覗かせた。
「雷、それに荒…」
「心配した」
雷の横に立っていた白髪の青年、荒は気絶している男達を見下ろした。そして、奥でうずくまっている女の子を見て目を細めた。
「被害は?」
「打撲とかすり傷だ。早い段階で見つけたからな」
「そうか…」
荒は足元に転がっている男を蹴り起こした。
「おい、起きろ」
「っ…」
意識を取り戻した男の目の前には冷たい表情の遼がいた。
「よく聞け、クズ。今回はこれで許すが、今後やってみろ。生まれて来た事を後悔させてやる」
「あっ…」
「行くぞ」
遼は男の言葉に耳を貸さずに立ち上がった。
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