流石の僕もこんな超展開を黙認するほどできた人間じゃないね。

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最寄りの寺までは、徒歩5分ほどの距離がある。 僕のクラスを担当する初老の数学教師の親父ギャグに匹敵する程度の寒さを持つ外気の中をひたすら進んでいると、さらに僕の視界までもを絶望させる光景が広がっていた。 どうも僕の五感全てに不幸を与えたいらしい母なる地球に恨みがましい視線を送ってやりつつ、再び目前の光景をとらえ、深く息をつく。僕の視神経に不幸を与えたのは、紛れもなく、寺へと続く長蛇の列だった。このぶんだと簡単な目測でも100mは続いてるんじゃなかろうか。 この町がベッドタウンであることを差し引いても、この人数は異常だった。 物好きな人達もいるもんだ。この場合だと僕もだけど。 「よし、帰ろう」 誰に言うとでもなく(そもそも周りに人がいないが)独りごちて、まだ月が高いところにある夜の中をのうのうと戻る。 考えてみれば先ほどから僕の聴覚を不快にさせる鐘は行こうとしていた寺にあるわけで、あれ? それって自爆以外の何でもないような気がする。
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