流石の僕もこんな超展開を黙認するほどできた人間じゃないね。

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家へと続く真っ直ぐな道をどこまでも明るい月を見ながら歩く。 誰かが布巾で拭いているんじゃないかと思えるほどに光る月に新年早々かるく荒んだ心を洗われつつ、気付けば僕は自宅を通り越して古い公園に来ていた。 砂場以外に何もないこの公園は、僕にとっても結構思い出のある場所だ。 小さいころ、幼馴染と毎日のように遊んでいた記憶が脳の片隅に蘇る。 毎日登校のために前を通っているのにどこか懐かしく感じるのは何故だろうか。きっと満月のせいだな、うん。 そう、僕はこの後、満月のせいにしたくなるような出来事に巻き込まれる。回避など出来ようもないし、運命だなんて言葉で誤魔化されるほど僕は単純ではないはずだ。全部偶然なんだ。ふと公園の奥に神社があるのを思いだし、なんの気もなくふらふらとそこに向かい、毎年している願いと同じ願いを、今年はこの神社に捧げる。
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