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精神を集中させる。
―――大丈夫だ。
自分に暗示を掛けているわけではない。
“当たるという確信があるだけだ。”
視界からは色が失われる。
だが唯一、彼の目に映るものが在った。
それは狙うべき敵(鴉天狗)だ。
「らっ、」
野球の投球と同じく軸足(左足)を踏み出す。
「あぁぁぁあああああ!!」
ブォンッ!!と空を切り裂く音が響く。
全力で赤い槍を投擲する。
吸い込まれているのかと錯覚させるスピードで赤い槍は鴉天狗めがけて疾る。
「なっ!?」
投擲音が気になり、鴉天狗は振り返る。
だが、もう遅い。
迫りくる赤い槍をかわす事は、土台無理な位置まで来ていた。
赤い槍は鴉天狗の身体を貫いた。
他の音を一切起てず、鴉天狗は地に伏せた。
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