無題

「目」

「私、お化けが見えるんです。
……そう、いわゆる幽霊。
でも幽霊っていっても姿はいろいろなんですよ。
人間以外にも動物だったり人形だったり。
あと怪物みたいなのもいるんですよ。
……あ、それは妖怪っていうのかな？
とにかく、そういうのが見えるんです！
けっこう何処にでもいるもんなんですよ。
家、街中、学校、お墓
種類もいろいろいますよ！
よく聞くでしょ？
背後霊とか地縛霊とか。
……え？怖くないかって？
初めは怖かったけど毎日見てるうちに慣れちゃいましたよ！
そんなもの見えない。いるわけないって人もいますね。
……なんでそう思うんでしょうね？
実は目では見えてるんですよ。
でも「そんなものいるわけ無い」って決めつけてるから気付かないんですよ。
知ってます？目に見える映像って、脳が作ってるんですよ。
「これは赤い物だ」っていう知識に基づいてその映像を作ってるんです。
だから林檎は明かりの下で見ても、暗いとこで見ても赤いでしょ？
……つまり見えてると思ってても、実は脳が間違えて作った映像を見てるかもしれないってことですね。
そう考えると怖いですよね。

貴方はどうですか？
ちゃんと見えてます？
本当に？

間違った映像を見てません？
……貴方は幽霊見えてますか？
……え？見えない？
おかしいな、私にはたくさん見えますよ？
そこにも、あそこにも。
……ほら、貴方の目の前にも。
明日、鏡でよ～く自分を見つめてみるといいですよ。
もしかしたら今まで見えなかった者が見えるかも……
楽しみですね。
見えるか見えないかは私にはわかりません。
信じるか信じないかは貴方の自由です。
……でも忘れないで下さい。
貴方の目には見えているんですよ……」