序章 出会い

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複雑に入り組んだ路地を奥へ奥へと進んで行く。人通りはほとんどない。 「こんな所に入ってなにをするんだ?」 アクセルはルナに気づかれないように距離を取って尾行を続けた。 しばらく路地を奥へと進む。すると路地を曲がったところから話し声が聞こえてきた。 (この声は……ルナ……) アクセルは気づかれないように、曲がり角から覗き込んだ。 「何なんですか、あなた達?」 ルナの目の前には、あまり好ましくない雰囲気の男が5人、ルナを取り囲むようにして立っていた。 「ははは……わかってんだろお姫様?オレ等が何物なのか」 「存じませんが?」 ルナは男に動じる事なく、淡々と答える。 「そうかい……まぁいい、知らなくても、どうせ死んでもらうだからな!!」 男達はいっせいにナイフを取り出し、構えた。 (おいおい!! 展開が急すぎるだろ!? なんだよこれ!?) アクセルは目の前で起きている事態を把握できないでいた。 その間も男達はじりじりとルナへと詰め寄っていく。 (くそっ……ここで見捨てて逃げるのか……) アクセルは拳を握りしめた。 「くそーっ!!」 アクセルは男達に向かって走り出した。途中道端に落ちていた木材を拾い上げた。 「なんだ!?」 アクセルは棒きれで男の頭を思い切り叩きつけた。 「がはっ……」 不意打ちを食らった男は、前のめりに倒れ込んだ。 「はぁっ……はぁっ……やっちまった……」 「なんなんだ、てめぇは?」 リーダー格と思われる男がアクセルを睨んだ。 「いや、……その」 「あぁ!? 聞こえねぇな……? なんだって聞いてんだよ!?」 男の圧力に、アクセルは後退った。 (くそ……なにやってんだオレ……戦えないのに、なんとかなるわけないだろ……) アクセルは自分の行動を後悔した。 「彼はただの同級生よ……あなた達の狙いは私でしょう?彼は関係ないわ」 「ほー、同級生ね」 男は不気味な薄ら笑いを浮かべた。 「おい、そのガキを半殺しにして捕らえろ」 「なっ!?」 「ちょっと!! 彼は関係な……!?」 「保険だよ。同級生を見捨てるなんて事、あんたにはできないだろ」 男の笑い声が、路地に響いていた。
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