2人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
「あ~あ、オレもあっちの女がよかったぜ」
「まったくだ。男の悲鳴なんか聞いたって、ちっともそそられやしねぇ」
男達がアクセルに詰め寄ってくる。
「やめて……!!」
「おっと……あんたの相手はオレだぜ?」
ルナの行く手をリーダー格の男がふさいでいた。
「逃げて!! はやく!!」
ルナは必死で叫んだ。
「はは……逃げられるわけないだろ……」
アクセルはすでに壁際まで追い込まれ、前方は男達に完全に塞がれていた。
「さて、さっさとやっちまうか」
「おいおい、半殺しだぜ?わかってんのか?」
「わかってるって~の」
男のナイフがアクセルの眼前に迫る。
「ナイフで半殺しってのも難しいよな?」
「……!?」
男の言葉が終わるや否や、アクセルの腹部に鈍い痛みが走った。
「やっぱ半殺しなら殴るしかねぇよな」
最初の一撃を皮きりに、男達が一斉にアクセルに殴りかかった。
「がはぁっ……!!」
顔、腹、背中……様々な部位を立て続けに殴られる。骨と骨、肉と肉がぶつかり合う鈍い音が路地に響き渡る。
アクセルの体はみるみるうちに傷だらけになり、立ち上がる力もなくなりかけていた。
「く……そ……」
「なんだよこいつ、一人で飛び込んで来たわりに全然たいしたことないじゃねぇか」
男がアクセルの髪の毛を掴む。
「はっ……離せよ……」
アクセルは屈しようとせず、男の顔を睨みつけ、足に唾を吐いた。
「てめぇ!!」
男は顔を赤く染めるほど激昂し、アクセルの顔を手加減なしで殴りつけた。
激しい痛みが一瞬襲った気がしたが、アクセルはすぐに何も感じなくなった。
(ちくしょう……こんなことに……関わらなけりゃ……よかった……)
アクセルの視界がどんどんと薄れて行き、暗闇へと落ちていった。
最初のコメントを投稿しよう!