序章 出会い

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(情けないな……まあいいや。オレは武術なんてやらないし、闘う事なんてできないんだから……) 「アクセルはだらしないなあ」 「ボクには才能なんかないんだもん!!」 (なんだ……あれは……昔の……オレ?) 「ほら、もう一回!!」 「やあぁぁ!!」 (武術を……してたのか?オレは……) アクセルの目の前には、幼いころの自分の姿があった。 (これは……夢、なのか?) 「アクセル」 誰かがアクセルの肩に手を置いた。 「あんたは……?」 姿はない。ただ淡く光る影が立っていた。 「お前にはすごい才能がある。いつか……それが目覚める日がくるさ。……必ず」 (この台詞……どこかで……) 「ねぇ!! ちょっと!! 目を覚ましてよ!!」 アクセルが倒れた後、ルナは必死でアクセルに対して呼びかけていた。 「安心しろ死んじゃいない、気絶してるだけだ」 リーダー格の男はアクセルをちらりと見ると、すぐにルナに視線を戻した。 「許さない……関係ない人まで巻き込んで……」 ルナは制服の胸ポケットへと手を伸ばした。 「なんだ?このオレ様と闘うつもりか?」 「行くわよア……」 「ウォォォ!!」 突然の砲口。ルナも男もその声の主を見た。 「あなた……よかった」 「ちっ、半殺しだって言ったろーが」 二人の目線の先には、立ち上がったアクセルの姿があった。だらりと頭をたらし、表情は伺えない。 「無事だったのね!?」 「…………」 ルナが声をかけるが、その問にアクセルはまるで反応を示さない。 「ははは!! 気絶したまま立ってんのか!? おい、今度こそ確実に潰せ」 「やれやれ……面倒くせーなあ」 手下の男がアクセルの持っていた棒を手にとった。 「これでお寝んねしてな!!」 男は勢いよく棒を振り下ろした。 「アァァァ!!」 「!? ……ぐあぁっ!?」 一瞬だった。アクセルは強烈な拳を男に放っていた。男はその場に崩れ落ちた。
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