第一章 驚愕

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「…………」 アクセルはルナから聞かされた事実に、言葉が出ないでいた。 「どう? ……少しは理解できたかしら?」 「……オレが、そんな力を……」 「そのようね。もっともあなたの話だと、無意識でやってたみたいだけど」 ルナはアクセルに歩み寄り、目の前の椅子に座った。 「まるで獣のような闘いぶりだったわよ。あなた強いのね」 「……オレは武術はしない」 「じゃあ、あれはなんだったの? あなた以外の何かだったと言うの?」 「オレ以外の……」 早く目覚めろ…… (あいつ……か?) アクセルの脳裏に、頭の中に響いたあの声がよぎった。 「何か心あたりでも?」 「いや……」 アクセルはルナから目を逸らした。 「そう……まあいいわ。 どちらにしても、あなたは今日から武術をやらなきゃならないんだから」 「どういう意味だ!?」 「あなたは私を狙う組織の奴らに手を出した。 あなたは顔を見られているし、奴らは当然あなたを排除の対象に据えるはずよ」 「ちょっとまて!! だいたいなんでお前は狙われているんだ!? お前を助けたせいで、オレは狙われる羽目になるんだぞ!?」 「あら、私のせいだと言うの? 誰も助けてなんて頼んでないわ。あなたが闘えもしないくせに勝手に手をだしただけじゃない」 「てめぇっ……!!」 アクセルは立ち上がって、ルナの胸ぐらを掴んだ。 「何よ」 ルナはアクセルを睨みつけ、目を逸らさない。アクセルは彼女を壁際まで追い込んだ。お互いににらみ合い、沈黙が辺りを包んでいた。
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