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朝日が街を照らし、人々の活気が溢れるエリシオの街並みを、冷めた目で見つめながらアクセルは歩いていた。
(いまは学校の時間……まああそこの連中はオレが来ない方が嬉しいだろうな。行かなくても誰も怒る人なんていないし)
行き交う人をすり抜け、ゆっくりと歩く。そしてアクセルは、街の外れにある古びた建物の前で立ち止まった。扉を開けると激しく軋む。
「ただいま」
ここは彼の家。アクセルは鞄を床に放り投げ、洗面台に向かった。蛇口をひねり、冷水で顔を洗う。
死ぬわよ?
「武術なんて……死んでもできるかよ」
滴る水滴を拭き取ると、そのままベッドへと近づき、飛び込んだ。必要最低限の家具が揃っているだけの、質素な部屋。朝だと言うのに薄暗い室内には、僅かな光しか入って来ない。
「疲れたな……」
アクセルはベッドに横たわって、ゆっくりと目を閉じた。
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