2人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
鐘の音がエリシオの街に響き渡る。時刻は夕方。夕焼けが街を包み込み、家路に急ぐ人々の足を速める。
鐘の音を聞いて、アクセルは目を覚ました。
「……もう夕方、か」
アクセルはゆっくりと起き上がって、窓を開けた。冷え始めた空気が眠気をとる。
「できれば今朝の事は、夢であって欲しいな」
「残念ながら……夢ではありません」
「!?」
アクセルが振り返ると、部屋の入り口に男が立っていた。
「誰だお前!?」
「勝手に入ってしまい申し訳ありません。私はルナ様より貴方の護衛を申し遣った者です。ベルとお呼びください」
「そういや、そんな事いってたな」
「これからは貴方の近くに控え護衛に当たります」
「そうか……わかったから、とりあえず出てってくれ」
「わかりました、失礼します」
男は部屋から出て行った。
「夢……じゃねぇんだな」
夜に変わろうとしている冷たい風が、アクセルの頬を撫でた。
最初のコメントを投稿しよう!