第一章 驚愕

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あの激動の夜から数日、いまだにアクセルを狙うような者は現れず、彼は普通の毎日を送っていた。しかし、その傍らでは彼の護衛を任されたベルが常に目を光らせていた。 「なぁ……あんたいつまでオレの護衛なんかしてるつもりだ?」 エリシオンからの帰り道、自分の後ろを歩くベルに向かってアクセルは振り返った。 「ルナ様がよいと仰るまで、私は貴方の身を守ります」 「ここ数日、誰もオレを殺しになんて来ちゃいない。もう大丈夫なんじゃないのか?」 「いえ、奴らは必ず貴方を始末しようとするはずです」 「だったらなんですぐ来ないんだ? 武術のできないオレなんてすぐに殺せるだろ?」 「いえ。奴らは貴方は相当な使い手だと考えています」 「なんだと?」 「貴方が追い払った刺客、黒豹のタクスは裏社会では名の通った殺し屋です。それと互角の戦いを演じた訳ですから、向こうもそう簡単に手をだして来ないのでしょう」 ベルの言葉はアクセルを妙に納得させた。そもそも敵はアクセルの戦える姿しか見ていない。武術の経験が無いなどと言う情報を知る由もないのだ。 「じゃあ、相手はかなりできる奴を送り込んでくるんじゃないのか? あんた、そいつらと戦って勝てるのか?」 「私もそれなりの実力はあると自負しています。しかし、それでも及ばないような刺客が現れた場合、命をかけてあなたをお守りするのでご安心を」 「命って……やめてくれ、オレはあんたにそこまでしてもらう義理はない。何だってあんたがオレをそこまでして守る?」 「それは……ルナ様があなたの力を必要としているからです」 ベルは一瞬口を詰まらすも、アクセルを見つめて言葉を放った。 「……力?」 「おや、優等生のアクセル君じゃありませんか」 突然数人の男に声をかけられた。ベルがすかさず臨戦態勢に入る。が、アクセルがそれを制止した。 「エリシオンの学生だ。刺客じゃない……まぁ味方でもないけどな」 「そちらの方は?最近キミの周りをうろついてるようだけど」 「お前には関係ない」 「ふふふ……冷たい物言いですね」 「大体、馴れ馴れしく話しかけて来てるけど、お前誰だ?」 アクセルの言葉に男達は沈黙。気まずい空気がその場を包んだ。
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