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二人は互いに一言も喋らず、ひたすら前を向いて歩いていた。
「おい」
アクセルが沈黙を破って、カイゼルに話しかけた。
「ん? どした?」
「ついて来るなよ」
アクセルは心底嫌そうな顔でつぶやいた。
「目的地いっしょなんだから、しょうがないっしょ?」
カイゼルは笑顔で答えた。
「はぁ……」
アクセルは諦めたように肩を落とした。
陽は完全に登り、すこし汗ばむような日差しが降り注ぐ、特に会話もすることなく歩いていた二人は、街からすこし離れた野原にさしかかっていた。
「あ~…そういえばさあ」
突然、カイゼルが声を発した。いきなりの大声に、アクセルは少し身構えていた。
「何だよ?」
「今日、うちの学校に転校生がくるらしいぜ!」
「へぇー。で?」
目を輝かせながら語るカイゼルを、アクセルは冷ややかな目で見つめる。
「で?って……もっと興味示せよなぁ。 『マジで!? 男? 女? どんな子?』 くらいの反応してくんないとつまんないだろ~?」
「……オレがそんな事言うようなタイプに見えるか?」
「全然」
「じゃあ、無駄な期待をするなよ……」
アクセルはカイゼルから視線を離し、前を向いて歩き出した。カイゼルはやれやれと小さくつぶやき、アクセルの後を追うように歩き出した。
程なくしてアクセル達は立ち止まった。
「さぁ、到着だ。オレらの学園に」
二人の目の前には、豊かな草原地帯には似つかわしくない、巨大な建造物がそびえ立っていた。
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