序章 出会い

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エリシオン学園 アクセル達の目の前にそびえ立つ建物で、彼らの通う学園である。古くからの歴史のある学園で、大戦でも壊れる事はなかった。アクセル達の住む商業都市エリシオの名はこの学園の名にちなんでつけられている。 「さーって、さっさと行こうぜ。早くしないと遅刻だ」 カイゼルが入り口でアクセルを手招きしている。アクセルはそれについて、学園の中へと入って行った。 学園は広大な敷地を有しており、いくつもの棟から成り立っている。特に『学棟』と『武棟』は巨大で、この棟を基準に校内は二分され、勉学を専攻する生徒は学棟で、武術を専攻する生徒は武棟で授業を受ける事になる。 「じゃあ、ここで」 アクセルはそう言って学棟の方へと足を向けた。 「勉強の何が楽しいのかねぇ?」 カイゼルはありえないと言うように首を左右に振った。 「なんで武術に来ないんだよ?エリシオンにいて、普通の学生してるなんてありえねーって」 「武術が楽しい? あんな相手も自分も傷つく最低の行為のどこに楽しさがあるって言うんだ? エリシオン武術部が生み出してるのは殺人者だ。そんな所、入る気にもならない」 アクセルはカイゼルの目をまっすぐ見て答えた。そして、答え終えて目を逸らすと、再び視線を交える事なく学棟へと消えていった。 「殺人者……か。 痛い台詞だね」 一人になったカイゼルはぽつりとつぶやき、武棟へと入って行った。
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