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学棟に入ったアクセルは、誰とも言葉を交わす事なく歩いていた。すれ違う他の学生に目もくれず、まるで誰も居ないかのように進む。
「今日も来てるぜ『天才アクセル』」
「また平均点上げて俺たちを苦しめる気か?」
「武術まるでやってないなんて、変人だよな」
アクセルとすれ違う度に、生徒からアクセルの悪口がこぼれる。基本的に誰とも喋ろうとしないアクセルはクラス、学年全体から疎外されていた。この学園でアクセルに話しかけるのは、カイゼルくらいである。
誰とも喋る事なく、クラスに入り、授業をこなす。これが当たり前になっていた。気がつくともうすでにお昼の時間だった。
いつもなら、一人で食事をとり、また授業……なのだが、今日はいつもと違っていた。
「あの野郎……」
アクセルが覗きこんだ鞄の中には、本来あるはず弁当箱の変わりに、一枚の紙が入っていた。
『ハハハ、貴様の弁当はオレ様がいただいた!! 返して欲しくば、取りにくるがいい!! 早くしないと食べちゃうぞ♪
怪盗カ○ゼル』
アクセルは紙を勢いよく握りつぶした。乾いた紙の音がして、カイゼルからの手紙は原型を失った。
「なにが怪盗だ、あの弁当泥棒め!!」
カイゼルは席を立ち、カイゼルの元へと向かった。さすがに弁当がなければ、午後からの授業に身が入らない。嫌々ながらも、武棟へと足を進めていった。
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