咲キ乱レシ華――初メテノ想イト共ニ――

15/17
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
しかし、その刹那・・・  「・・・景、早くそいつから離れろ!!」  そう何処からか、聞きなれた声がして。はっとしたように夏目は、さくらを思いっきり突き飛ばし、さくらから離れて。  「・・・誰?!」  さくらが只ならぬ殺気を纏わせながら叫ぶと、返事の代わりに、ビール瓶のようなものが木に投げつけられて。  その瓶は、火炎瓶だったようで、瓶が割れた瞬間に、炎が桜の木全体を包み込む。    「・・・あアアぁぁァァァァッ・・・・・・・!!!」  火が桜を包み込んだ瞬間に、小夜子は苦しみだして。    「――センパイ!!!!」  夏目は一瞬、何が起きたのか分からずに、ただ、さくらの様子に、驚く。すると、背後から、自分を呼ぶ声がして。  「・・・景!!けい!!何してるんだ!!早くこっちへ!!」  その声に、夏目が反応して振り返ると、そこには、昨日、喧嘩したばかりの忍が居た。  「・・・まさか、忍・・・」  「――ああ。あの木に火をつけたのは、俺だ。」  燃えていく桜の木を見つめながら、忍は言った。  「・・・な、んで・・・」  火の中で苦しみもがくさくらを見ながら、夏目は呆然と呟く。もう、それしか言葉が出なかった。 
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!