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しかし、その刹那・・・
「・・・景、早くそいつから離れろ!!」
そう何処からか、聞きなれた声がして。はっとしたように夏目は、さくらを思いっきり突き飛ばし、さくらから離れて。
「・・・誰?!」
さくらが只ならぬ殺気を纏わせながら叫ぶと、返事の代わりに、ビール瓶のようなものが木に投げつけられて。
その瓶は、火炎瓶だったようで、瓶が割れた瞬間に、炎が桜の木全体を包み込む。
「・・・あアアぁぁァァァァッ・・・・・・・!!!」
火が桜を包み込んだ瞬間に、小夜子は苦しみだして。
「――センパイ!!!!」
夏目は一瞬、何が起きたのか分からずに、ただ、さくらの様子に、驚く。すると、背後から、自分を呼ぶ声がして。
「・・・景!!けい!!何してるんだ!!早くこっちへ!!」
その声に、夏目が反応して振り返ると、そこには、昨日、喧嘩したばかりの忍が居た。
「・・・まさか、忍・・・」
「――ああ。あの木に火をつけたのは、俺だ。」
燃えていく桜の木を見つめながら、忍は言った。
「・・・な、んで・・・」
火の中で苦しみもがくさくらを見ながら、夏目は呆然と呟く。もう、それしか言葉が出なかった。
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