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その言葉で私はハッとする。
いかんいかん。
黙ってる場合じゃない。
私は友輝と目線が同じになるようにしゃがむと静かに謝罪した。
「お姉ちゃんこそ…さっきは怒鳴ってごめんね?
友輝は何も悪くないんだから謝らなくていいのよ」
そう言って頭を撫でると友輝は安心したように笑った。
――…
「……年をとるとどうして素直じゃなくなるのかしらね?」
「お姉ちゃん、年寄りくさいよ」
仲直りから数分後。
テレビにかじりつきだした友輝の後ろ姿を眺めながらふと言葉を漏らすと、楓に見事にツッコまれた。
それを軽く聞き流しながら話を続ける。
「…気づいたらね、言い訳を考えてたり場の雰囲気を気にしたりしてるの。
素直に謝れば済むのにね…」
私は独り言のように話しながら同じソファーにもたれかかりテレビから目を離さない楓を見た。
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