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『ゴメンゴメン。でも妊娠は本当だよ~。結婚したの。私。』
「したの?それはおめでとう。」
『ありがとう。結婚式はまだだからする時は呼ぶね。』
「あー。楽しみにしてる。じゃぁオヤスミ。」
『オヤスミ。』
向こうがオヤスミを言い切る前にケータイを閉じてソファの下に落とす。
「聞こえてた?分かった?」
奈央の耳に言う。奈央が目を合わせないのは恥ずかしいのと、反省してるのと、これから何されるか考えて怖がってるからだ。
いつまでも自分に慣れない奈央を一志は嬉しく楽しく思う。
「離婚するの?」
一志は意地悪く聞く。
「…しようって言った時、何も聞かなかったくせに…。」
奈央は拗ねる。
「うん。奈央に好きな人が出来たと思ったから…。」
「何それ…。」
奈央は呆れて力を抜く。
「今更好きな人なんか…。もう36だよ?恋愛なんて仕方も忘れたよ。」
「違うでしょ。奈央の好きな人は俺なんでしょ?36にもなって純粋に一途に。」
これは願望に近い…。
「うー…ん。一志って何でも見透かすから怖い…。」
「……。」
一志は奈央のブラウスのボタンを上から外し始める。
「…何。」
奈央は緊張を隠した顔で一志の手を握って止める。
平静を装って頑張って呆れ顔を作ってるのが丸分かり。
「取りあえず、一回セックスしないと落ち着かない。」
一志は真面目な顔をして、ボタンをまた外し始める。
「何言って…待ったっ。だぁっ。」
奈央は必死で一志の手をはらう。
「何。いつも言ってるけど、抵抗すると痛いよ。」
「っ…。」
奈央は恥ずかしさで言葉を失う。
「また縛られたい?」
「っ変態!」
「うん。」
一志は当たり前のことのように肯定する。
「…自分の奥さんにそんなことして何が面白いの…。」
奈央は本気で呆れる。
「奈央は奥さんじゃないもん。」
「……奥さんですよ。」
奈央は自分が離婚を切り出したことを思い出して反省して自信無く言う。
「奈央は奥さんじゃなくて、俺の性の対象。」
一志は真面目な顔を崩さずに言う。
「マジ変態っ!マジヤダ!」
「ん。だろうね。」
一志はブラウスの開いた襟元から手を入れ、奈央の肩をグッと掴む。
「や…分かったっ…でもここダメ!」
「…。」
一志は奈央をジッと見て考える。
「…。よし。じゃぁベッドに行こうか。」
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