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「…………はあ」
何かこんな自分が嫌になり、考える事をやめた。
カーテンから漏れる光は、まだ淡い。それだけじゃあ今が何時かわからない。
俺はまた眠気に襲われつつある意識で、枕元にあるであろう携帯に手を伸ばす――
――ところで、違和感を感じた。
あれ?布団がなんかおかしいぞ?
いや、正確には布団に異常があるわけではない。問題なのは布団を盛り上げている謎の物体だ。
もっと正確に言えば、開けた布団からこっそりと頭を覗かせている、おそらく寝苦しかった原因の物体。
……もうはっきりと言おう。ていうより、このまま少しずつ現実を確認していったら、いずれ心臓が破裂する。だったら重い一撃を一回喰らった方がいい。
俺は一気に、謎の物体を隠している布団を剥ぎ取った。
瞬間、視界に映ったのは子猫のように丸まって横になっている、一人の少女。彼女は俺の隣で、現在進行形で眠っている。
そして、おそらく、夜の間も、ずっと……
「むにゃぁ、兄さぁん……」
少女の唇から、そんな言葉が漏れる。
いや~、実に微笑ましい。
俺は笑顔のまま、口をパカッと開け、
「ぎゃああぁぁぁぁああ!!」
さっきとはまた違った悲鳴を上げた。
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