回顧録1~傷付け傷付く嘘つき灰かぶり~

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 だが、少女は目覚めない。相も変わらず心地よい眠りに落ちている。  その隣で、俺は落ち着く事だけを考え、同時に頭をフル回転させていた。  何この状況俺何もやってないよねていうよりそもそも部屋に入れてないよねていうか何で一緒の布団で寝てんだよまさか俺間違いを犯してねえだろうなーーーー!!  思わず頭を抱えてしまう。よく酒を飲んで酔っ払った勢いで間違いを犯してしまうと聞くが、まさか未成年の内にこんな事で悩むとは思ってもみなかった。大人になってもする気はないが。  しかし実際には、こうした現状が隣にある。  俺の周りにいる女の子って、結構何でも有りだから、こういうのにも耐性ができてるかなと思ってたけど、まったくだった。本人達じゃないから、尚更かもしれない。  ……そう、今隣で眠っているのは、緋凪や柊じゃない。そもそも緋凪には兄弟がいないし、柊には兄はいるけど、俺がどこに部屋を借りてるのか知らないはずだ。  さて、もう一度言うが、隣で寝ているのは緋凪や柊じゃない。じゃあ誰なのか。  俺は意を決して、時折寝言をつぶやく少女の肩を揺らしながら、  「おい、起きろ雪!そして何でお前がここにいるのか、懇切丁寧に説明しろっ」
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