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雪という少女は、うぅんと何回か唸った後、ゆっくりと目を開けた。
ふわぁとあくびをし、目をぐしぐしと擦り、やっと俺に目を向けた雪は一言。
「おはよう兄さん、そして久しぶり」
その言葉を聞いた俺は、誰が見ても嫌そうな表情を浮かべ、それから中の感情を吐き出すようにため息をついた。
俺と雪の関係は、そういう物だった。
「お、雪菜ちゃん、お久~」
朝、すっかり日が昇り、でも少しだけ涼しいくらいの時間に、朝食を食べに緋凪が俺の部屋にやって来た。
緋凪は雪がいる事にさほど驚いた様子も見せず、本当に普通にあいさつした。
「お久しぶり、ねえさん。さっきはありがとう」
「さっき……?」
朝食のトーストとサラダ、レトルトのコーヒーを部屋の中央に鎮座しているテーブルに置いてる時に、雪の言葉に引っ掛かりを感じた。
「さっきという事は、お前ら朝早くに会ってたのか?」
俺の問いに、緋凪はひらひらと手を振る。
「会ってないよ。電話で話しただけ」
「ねえさんに、兄さんの部屋の侵入方法を教えてもらったの」
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