300人が本棚に入れています
本棚に追加
包み込むように柔らかい、寝ているだけで安心感漂う布団に身を沈めていた私は。
逆に違和感を感じて、目を覚ました。
そこで気付く。私は私の部屋と違う場所にいた。
「……え?」
思わず声が漏れる。しかたがないと思う。起きたら別の場所だったら、最初に連想するのは普通誘拐だ。
でも、それだとおかしい。誘拐されたら普通、こんな所で眠らされていない。おそらく地べたに転がされているだろう。
それに、寝てる最中に起きた覚えもない。ピッキング防止された部屋の鍵はちゃんとかけたはずだから、誘拐されたとしたら強行手段だ。大きい音も相当鳴ったに違いない。
でも、そんな記憶はない。
じゃあ、何で私はこんな所にいるんだろう。
私は上体を起こす。私が眠っていたのは、アニメのお嬢様が使っているような、日よけのカーテンまでついてる巨大なベッドだった。
朝はまだ来てないらしく、部屋は暗い。それでも雲はないようだ。カーテンの隙間から溢れ出る月明かりが、部屋を淡く照らしている。
ベッドを覆う薄いカーテン越しに見える部屋は、一般の家のリビングくらいの広さを持っていた。
……この光景、見た覚えがある。
最初のコメントを投稿しよう!