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女執事さんは思い出したように急に苦笑を止めると、背筋を伸ばしそれから頭を下げた。
「申し遅れました。私、神宮寺家の執事、蒼火(そうか)と申します」
服装通り執事らしい。女性なのにどうして執事なのかは、気になるけど訊かない。そんなよりも訊かなきゃいけない事はたくさんある。
「蒼火さん、何故私はここに?どうやって連れて来たんですか?」
「はい、お嬢様が自宅謹慎を受けたと学園から連絡があり、一週間ここで過ごしてもらう、と旦那様がおっしゃりました。それがお嬢様がここにおられる理由です」
やっぱり……。私は心中でつぶやいた。
何となく予想はしていた。私が何か問題を起こせば、学園側は連絡せざるを得ない。その問題が殺人事件ともなれば、どれだけ私が拒絶していても、神宮寺は自身の監視下に置こうとするだろう。
「でも、私の部屋には鍵がかかってました。入ることは疎か私を外に連れ出すなんて、絶対にできないはずです」
「はい、確かに鍵はかかっていました。しかし鍵など、複製を作ってしまえば開いているのと同じ事です」
いつの間に、と思ったけど口には出さない。どうせ私が学園に行ってる時に、一応のために作っていたに決まってる。
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