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何をきっかけにするでもなく、私は目を覚ました。
紛れも無い、朝。いや、枕元に置いた携帯で時間を確認すると、もうお昼に近い。夜中に一回起きたせいで、こんな時間に起きてしまったのだろう。
けだるさが襲う身体を無理矢理動かし、私は上体を起こした。
即座に、薄いカーテン越しに見える人影に気付く。
「おはようございます、お嬢様」
そう言って、人影は頭を下げた。カーテンを開けると、そこにはすでに直立した蒼火さんの姿が。
「少し遅いですが、朝食をお持ちしましょうか?」
「……ええ、お願いします」
ため息混じりに言った。
着替えを手伝おうとする蒼火さんを追い出して、私はクローゼットの中のワンピースを着た。
少し経って朝食を持って来た蒼火さんに、私はいくつか気になる事を訊いてみた。
「義父さんと義母さんは?」
「お二人共お仕事です」
そうですか、と相槌を打つ。
「この朝食は蒼火さんが?」
「はい、この館には現在私とお嬢様しかおりませんから」
そうですか、と再び相槌を打つ。
「……食べますか?」
「は?……もしかして、お口に合いませんでしたか?」
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