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そんな私の頭の中に、仮説としての答えなら、現在一つだけ浮かんでいる。
それは……怪談だ。
その言葉を思い浮かべた瞬間、館の中の空気が変わった、ような気がした。
昼間なのに書架の奥に見える闇が、何だか無意味に怖くて、反射的に本に視線を戻す。
人の死に関わったとはいえ、私も女の子だ。緋凪さんほどじゃないだろうけど、オカルトの類はやっぱり怖い。
こういう時、頼りになるのは男の子なんだろうな、と私は思う。
春日先輩を捜すのに館に入る時、緋凪さんが怖がって一歩踏み出せないのを、蓮弥さんが彼女の手を引く事で一緒に歩いていた。夜学校に忍び込んだって言ってたけど、多分その時もそうだったんだろう。
……もし今蓮弥さんがいてくれたら、私は安心してるのかな?
そんな想像をして、それから思った。
何で義兄さんじゃなくて、蓮弥さんを想像したんだろう?
無意識だったから、何故かはわからない。でも、それでもいいかな。だって今、私の心に恐怖感はなくなってたんだから。
一度失いかけていた集中力を取り戻して、私は読書に戻った。いや、戻ろうとした。
未遂で終わってしまったのは、正体不明な微かな音が耳を打ったからだ。
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