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「お待たせ~、蒼火さんの特製アイスだよ~」
何故かテンションが高い蒼火さんは、笑顔でアイスをテーブルに並べていく。
「……何で五個もあるんですか?」
「何事も多い方がいいでしょ?大丈夫、お嬢様が食べなくても私が食べますから」
なるほど、食べられるからテンションが高いのか。
蒼火さんという人間は、少々男前な所があり相当な食いしん坊らしい。
でも、甘党な私が甘味を拒絶するわけなく、私は一番甘そうなチョコやクッキー、生クリームがトッピングされた、もはやパフェに近いバニラアイスを手元に引き寄せた。
アイスを生クリームと絡めて、それを口に運ぶ。冷たいけど柔らかい甘味が、口の中で溶けて広がっていく。
「おいしいですぅ……」
おいしさのあまり、思わずため息と一緒に声が出てしまった。人前ではこんな無防備なリアクションはしないけど、気にしない。今鏡を見たら、すでに楽園にいるような満面の笑みも浮かべてるだろうし、執事なんて本来いていないような影みたいな存在だ。……まあ、この人は普通の執事とは少し違うけど。
蒼火さんは私と自分のアイスティーを用意し配ると、前の席に座った。
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