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私が一口また一口とアイスを口に運び笑顔を浮かべる度に、目の前の蒼火さんも微笑む。
最初はあまり気にしてなかったけど、それを数回繰り返して段々と食べにくくなってきた私は、思い切って訊いた。
「……何です?私の顔に生クリームでも付いてますか?」
「いや~、妹がいたらこんな感じなのかなって」
笑顔で答える蒼火さん。はあ、この人はアイスに手を付けずに、そんな事考えてたのか……
「……まあ私、実際妹の立場ですし、そうなんじゃないですか」
「お姉様と呼んでもいいのよ?」
「お断りです。私は兄しかいりません。ていうか、執事であるあなたが言いますか」
訊かなきゃ集中して食べれなかったけど、訊いて損したと結論付けて、私はアイスを味わうのを再開する。
だけど蒼火さんは話を終わらせるつもりはないらしく、気をきかせてかあまり甘くない抹茶のアイスを手に取ってから、口を開いた。
「うん、聞いた通り相当なブラコンだね」
「だから、執事であるあなたがそれを言いますか」
確かに兄に対する感情が他人より異常だって自覚はあるけど、よりによって雇われてる側の執事には言われたくない。
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