回顧録2~少女が次に奏でるその唄は~

20/92
前へ
/311ページ
次へ
 「ちょっと待ってください。何で起こるって断言できるんですか?」  「そんなの簡単です。お嬢様はさっき、”唄う女の子”を見たとおっしゃいました。それだけで理由は十分だと思うのですが」  意味がわからない。何だろう、”唄う女の子”とは悪い出来事が起こる前触れ、疫病神みたいな存在なのだろうか。  とにかく、正真正銘何も知らない私に、その理由は意味不明すぎた。  私の薄い反応に、蒼火さんは台本に書かれた台詞を朗読するように、詳しく説明し始める。  「お嬢様は女の子を見た時点で、お友達に会えない悪い夢に捕まってしまったのです。  夢の中なら不思議な事が起きても何の不思議もないでしょう?悪夢で悪い出来事が起きてもそれは同じです。  そして目が覚めるには、謎を解くしかない。それがお嬢様にとっての勝利にも繋がる、という事です」  ようするに、今から推理ゲームを行うから、私にはプレイヤーとしてゲームに参加してもらうという事か。  そして、勝利すれば、おそらくだけど前の生活に戻っていい権利を貰える。  でも、さっきの説明の内に、気になる言葉があった。  「お友達に会えない悪い夢を見てる、って事は……」
/311ページ

最初のコメントを投稿しよう!

300人が本棚に入れています
本棚に追加