回顧録2~少女が次に奏でるその唄は~

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 ええ、と相槌を打ってから、蒼火さんは続ける。  「勝利しなければ夢は覚めないんです。だからお友達とは会えません」  イコール、謎を解かなければ館から出る事はできない。  それが指し示す、更なる答えは……  「私が負ければ、ずっと館から出れないという事ですか?」  満面の笑みを浮かべて、蒼火さんは頷いた。  「高校は義務教育ではないでしょう?館から出なくても何も問題はありません。まあ高学歴の方が、世の中に出た時便利ではありますが……  負けた場合、代わりにお嬢様には別の教育を受けてもらいます」  「神宮寺の後を継ぐための勉強ですか?」  蒼火さんは再度頷いた。  予想通りの答えに、そして恐れていた事がついに起きた事に、私は何も言う事ができない。  以前から後継ぎの話は聞かされていた。その度に血が繋がってないからと断り、何か言われる前にその場から逃げていたのだけど……  神宮寺はどうやら、私が事件を起こしたのを機に、自宅謹慎を建前とし、後継ぎの問題を賭けてゲームを仕掛けてきたらしい。  でも、それに私は応える必要はない。ゲームを受けさえしなければ、一週間後には元の生活に戻れるんだから。
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