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今後もっと後継ぎの話がうるさくなるだろうけど、それも今までの生活と大差はない。いつも通り我慢して話を流していれば、たまに今回みたいな強行手段に出られるかもしれないけど、何も問題ない。
そう、ゲームを受けなければ……
それがわかってるからこそ。
私が仕組んだトリックに惑わされながらも、一人の力だけじゃなく二人で解き明かした彼らの姿が、脳裏に鮮明に映ったのかもしれない。
逃げる事はせず、そもそも逃げるという行為さえ頭に浮かべず殺人事件に立ち向かった二人の姿を、瞬間的に思い出したのかもしれない。
「さあお嬢様、このゲーム受けますか?それとも……」
蒼火さんの目は、明らかに私を試している。
危険な道を歩む馬鹿か。
安全な道を歩む腰抜けか。
私は悩んだ。
でも、答えを決めるのに、そんなに時間はかからなかった。
「ゲームを受けます」
迷ったけど、断言した。
蒼火さんの表情は、予想通りの答えを聞けたであろうにも関わらず、やや驚いてるように見えた。
「……一応、理由をお聞かせしてもらっていいですか?」
「理由なんて単純です。次は私が逃げずに立ち向かう番だと思ったからですよ」
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