回顧録2~少女が次に奏でるその唄は~

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 「質問はありません。でも要求はあります」  「はあ、一応聞くけどその要求は通らないと思うわよ?」  蒼火さんは一旦言葉を切って、  「それって、神宮寺は二度と後継者の話をしてくるなって言うんでしょ?」  本当に読まれてたらしい。私の頬を冷たい汗が流れる。  私が黙って頷くと、蒼火さんは腕を組んで何やら考え始めた。雇われてる側が勝手に決めていいレベルの話ではないから、それなりに返答に困るのだろう。  「……私個人じゃ決められないから、旦那様に話す事になるけど、当然要求を呑むかはわからない。それでもいいなら話しておくけど?」  「十分です。それくらいの要求を呑む事ができないなら、義父さんもその程度の人間だったと証明されるだけですから」  手厳しいね、と蒼火さんが苦笑する。  「さて、用件は全て片付いたし、早速始めましょう。――あら」  蒼火さんの視線が下を向く。先にあるのは私のと蒼火さんのを含めた五つのアイス。だけどそれらは、一つの残らず形を崩していた。話しに集中している内に溶けてしまったらしい。  蒼火さんはため息混じりに食べたかったなと漏らしながら、溶けたアイスのカップをトレイの上に乗せる。
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