回顧録2~少女が次に奏でるその唄は~

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 だから地道にこつこつ。できるだけ他の謎と遭遇しないように行動して、少ない謎をじっくり解いてく。そっちの方が私にはあってる。  とりあえず、私は書庫から出る事にした。目的地はすぐそこ、女の子が消えた廊下の曲がり角だ。  あの場所は今朝通ったきり、一回も目を通してない。それは蒼火さんに止められたからだけど、今思うとその行動には何か意味があったのかもしれない。  書庫を出ると、すぐに目的地が目に映った。白い靄はすでになく、当然女の子も姿を見せない。  さっきまで女の子の正体ばかりを考えてたけど、よく考えると靄がいったい何なのかというのも推理しなければいけないのだ。女の子のオプション……とは考えにくい。女の子の正体がわからないから、結局断言もできないんだけど。  色々考えながら曲がり角に近付いてる途中、気付いたきっかけは何だっただろうか。とりあえず、私はある一点に気が付いた。  ……壁にあんな模様ありましたっけ?  曲がり角の、書庫からじゃちょうど死角になる向かい側の壁に、何か赤い模様が見えたのだ。  何故か妙な既視感に襲われて、思わず私は足を早めた。
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